先日はゲティ・センターへ行った様子をブログにしましたが、今日はもうひとつのゲティ・ヴィラについてご紹介します。
ゲティ・ヴィラの基本情報
ゲティ美術館の淵源は、実業家であり美術コレクターであったJ. ポール・ゲティ氏(1892年–1976年)が、自身の邸宅に隣接した土地に最初のギャラリーを建てたことにさかのぼります。その後、収蔵スペースの不足を補うため、2番目のギャラリーを建設し、1974年にゲティ・ヴィラとしてパシフィックパリセーズに開館しました。
ゲティ氏の亡き後、661,000万ドルの遺産を受け継いだゲティ財団が、ブレントウッドのゲティ・センターの建設を着手し、1997年に開館。センターには中世から現代までの西洋絵画などが収蔵されています。
ゲティ・ヴィラには古代ギリシア、古代ローマ、エトルリアの古代美術品などが収蔵されており、センターとはまた違った趣を味わうことができます。
- 開館時間 午前10時から午後5時
- 休館日 火曜日(祝日については要確認)
- 入館料 無料
- 駐車場 $25
- 住所 17985 Pacific Coast Hwy, Pacific Palisades, CA 90272, United States
- ホームページ https://www.getty.edu/visit/villa/
古代ローマの豪奢な別荘を模した建築
ゲティ氏は、古代ギリシア・ローマ美術を鑑賞するにふさわしい環境を理想としていました。そして、かつてナポリに実在した古代ローマの豪奢な別荘、ヴィラ・デイ・パピリを模して、このヴィラを建築しました。
ヴィラ・デイ・パピリは、西暦79年のベスビオ山大噴火で埋もれてしまいました。しかし、18世紀に発掘された露出部分の図面や、ポンペイ等に残存する古代邸宅の遺跡をもとに、細部にまでこだわったヴィラが完成したとのこと。
いざ、ゲティ・ヴィラへ!
この美術館の入口は、パシフィック・コースト・ハイウェイ(Pacific Coast Highway)沿いにあります。この入口をミスすると、Uターンなどややこしいことになるので、慎重に。
敷地内に入ると、ゲートで駐車料金を支払い、奥の立体駐車場まで進みます。この道沿いに水路が設けられていて、植栽があり、ハスの葉も浮いていて、自然との調和が美しい。否応なく期待が高まります。
前回、ゲティ・センターに行ったときは激しく混雑していて、地下深くまで駐車場を探したのですが、今回はすぐに駐車できました。ゲティ・センターに比べれば規模が小さいため、駐車場から美術館も近く、リラックスした雰囲気です。
古代の美術品がいっぱい
館内に入ると、胸像がお出迎え。目力ハンパない…。
こちらは、紀元前500年のローマより。何やら楽しげだと思って写真を撮ったのですが、説明文を見ると「走る召使(Running Servant)」とのこと。
少し切なくなりました。
金でできた装飾品。細かい細工がされていて、当時どれほどの手間がかかったのかと思うと、ため息がでますね。
↑こちらは、紀元前664から526ごろ(エジプト第26期王朝)の祭司、Ankhefenmut(写真右はじ)について書かれた墓石のようなものです。エジプトの文字、実物はとてもかっこいいですね。
↑こちらも紀元前500年ごろ、エジプト第27王朝の石棺。ふたの部分には、おなじみのお顔が彫られています。他の人がこの石棺に手をついて中を覗き込んでいたのにはびっくりしました。「さわっちゃだめ」と私からさんざん言われていた息子が、「え?」という顔をして見ていました。
順番に、ジュピターの像、ギリシア神話の占い師・カルカース、鷲の像。すべて古代ローマ時代のもの。
ゲティ・ヴィラのお庭でくつろぐ幸せ
ぺリスタイル(中庭のある列柱)外廊は、まるで古代ローマにタイムスリップしたかのような空間。植栽も綺麗に刈り込まれていて、細部まで管理が行き届いています。
ここで、美術鑑賞に疲れた子供たちとベンチに座って休憩しました。風がほどよく吹いていて、春の日差しも柔らかく、美しいものに囲まれてうっとり。「もしここが自分の家だったら」と妄想を膨らませて、楽しんでいました。子供たちの結論は、「管理が大変そうだね」というものでした。感覚がまるで庶民。
子連れにうれしいアクティビティ
こちらは子供のための「アート・ディテクティブ」。ゲティ・センターにも同じようなものがありました。美術品を探しながら、トリビアを学ぶことができます。
子連れて楽しめる部屋もあり、壷に絵を描いたり、紙に絵柄をトレースして、古代の芸術家気分を味わえます。子供たちも夢中で絵を描いていました。なぜか、にゃんこ大戦争。
おもちゃの剣と盾を持って戦うと、まるで古代の戦士が戦っているような影がスクリーンに映る仕掛けもありました。こちらも子供たちに大人気。
ゲティ・ヴィラは子連れで1日楽しめる美術館
朝11時に到着し、美術館を出たのは夕方4時ごろでした。子供たちとたっぷり5時間過ごしたことになります。子供が小学生以上であれば、様々なアクティビティやお外の散歩も含めて、かなり楽しめるのではないかと思います。参考に、日本語の見どころマップを載せておきますね。
2010年よりサンタモニカ在住、仕事はフリーランスです。アメリカ人の夫、小学生と中学生の子供の4人家族です。こちらで生活するなかで感じた日本との違いや、子育てについてのリアルな情報などをお届けしたいと思っています。
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